はじめに

過去、20台以上のバイク購入をしてきた私のバイク遍歴において、現在まで持ち続けられているバイクは残念ながら1台として無い。
理由は私が「飽き性」だからである。いつも気に入って購入はするが、少し経つともう他のバイクへ目移りしてしまう。結局、その度に乗り換えを繰り返してきた。しかし、私が理想とするバイク所有イメージは異なっており、1台のバイクを長くいつまでも乗り続けている姿である。そんな理想の1台と出会うことを夢見ながら、アラカンとなった現在も探し求めている。しかし最近になり、そんな理想の1台と呼べるバイクは存在しないのではと思い始めてきた。そこで、自分とって理想のバイクとは一体何なのかを考えてみた。

数々のバイク遍歴

私のバイクを気に入る理由に一貫性は見当たらない。

若かりし頃、漫画「ペリカンロード」の主人公が駆るHONDA MVX250Fに憧れて、購入。VT250Fによく似たスタリングだが、トリコロールカラーのボディから後方に伸びる3本チャンバーが、V型3気筒の2ストロークエンジンを主張。煙幕のような白煙が特徴的だったが、どこかオモチャ感が否めなかった質感に段々違和感を抱いて最後は売却。そして400ccネイキッドブーム時代には、SUZUKI GSX400インパルス TypeSのクーリーレプリカルックを気に入り購入。しかし街中で横に並ぶ大型バイクの前では恰好だけのバイク思い始めて最後は売却。大型免許を取って初めて購入したリッターバイクはKAWASAKI ゼファー1100。その威風堂々とした車体の大きさに最初は満足していたが、重い車体にツアラー然とした走りのフィーリングに嫌気が指して売却。バイク遍歴で初の外車となったBMW F650GSは街乗りからロングツーリングまで、とても快適なバイクだった。しかしメーカーのリコールや同じブランドの中のフラットツインモデルと比較すると見劣りする装備や性能に我慢できず売却。憧れだった絶版車のKAWSAKI W650RS(通称:ダブサン)はゆっくり走るのがとても楽しいバイクだった。また眺めて良し、磨いて良しの最高と思えるバイクだったが当然トラブルも多かった。それも旧車ライフの楽しさと最初は寛容な気持ちでいたが、修理続きの日々に疲れてしまい最後には売却。気に入って買っても何かを理由に手放しているのを繰り返すバイク遍歴に流石に疑問を抱く。どのバイクも「良い」と「悪い」面がそれぞれあって、その両方を受け入れられないとそのバイクを乗り続けること、所有し続けることは出来ないのであると、、、

冒頭、私の「飽き性」が理由と書いたが、今まで乗ってきたバイクたちの両面をただ受け入れられなかった自分の器が小さいだけなのだと、この年齢になって分かってきたように思う。

カスタムで理想のバイクに昇華

現在所有のバイクは2019年にSUZUKIが満を持して登場させたGSX-S1000S KATANAである。
私にとっても久々に新車で購入した1台であり、購入から5年がたった現在も大事に乗って2回目の車検を迎えたばかり。「飽き性」な性格の自分には、過去のバイク遍歴の中でも比較的ながく所有し続けている。そんなKATANAを先ごろカスタム(サスペンションチューニング)をおこなった。ノーマルのサスペンションから、その走りに磨きが掛かり、カタナ風に言うと「研ぎ直された」のである。変更メニューは、フロントサスペンションはテクニクスのリバルビング、リアはナイトロンのサスペンションに換装したファインチューニングだが、驚くほどに走行フィーリングが変わった。元々、初代のカタナをオマージュした新型KATANAのデザインは自分にとってお気に入りポイント。(反面)ノーマルのサスペンションは路面凹凸でピョンピョンと跳ねてしまい、とても足回りに不満を抱いていた。正直に言うと2回目の車検を迎えることが無いまま、このバイクとも「お別れ」かなと、思っていたのである。いつもの乗り換えパーターン、、

しかし、前後サスペンションをカスタムしたことで、唯一の不満だった「悪い」面が無くなり、デザイン良し、走って良しのバイクへと変わったのである。すっかり気に入り、このバイクをもっと長く乗ろうと思う気持ちも変化したのである。

最後に

新型KATANAは、僕が理想とするバイクの1台であると言える。そして過去に所有してきたバイク遍歴の中でも愛着のある1台へとなった。2回目の車検を済ませた現在、もっと沢山の思い出作りにこのバイクに乗って出かけてみようと思っている。そしてこれから5年、10年と乗り続けている自分の姿(イメージ)を重ね合わせ、次の週末ライディングが待ち遠しいと思う今日この頃。