2023年9月3日、長野県諏訪郡は霧ヶ峰の麓にある「信州マウンテンパーク」で開催されたキャンオフ東日本 第2戦 5時間耐久エンデューロへ参戦してきた。

「キャンオフ」は学生がメインのオフロードイベント。近年はOB・OGをはじめ、社会人にも門戸を開いたことで若干Sっけの強い"初心者向け"エンデューロレースとしてその人気は年々増し、近頃はエントリーも早々に満員になってしまう。

ウェビックオフロード部からは、3人1チームの唐澤、今野、吉田の「Team 短足組合」と、本来は2人1チームで出場予定であったがうちベテランの一人がレース2日前にぎっくり腰をキめ、1人=ぼっちで5時間を走ることになった新卒の山口のソロチームの2チームが出場した。

期待の新人とオフロード部の悲願

「いや新卒1人で5時間はかわいそうだろ」「3人チーム解消して2人2チームにしろよ」なんて声が聞こえてきそうだが、安心してほしい。彼は「MFJエンデューロ国際B級(IB)」の腕前を持つ本格派。エンジョイ成分100%の「Team 短足組合」の我々では足枷になってしまうのだ。彼にはウェビックオフロード部のエースとして、悲願のキャンオフ表彰台を獲得して欲しい。

レーススタート

この日の天候は晴れのち曇り。気温も湿度もそこまで高くなく、信州らしい快適なコンディションだった。
レースがスタート。コースは例年とは逆回りで、少しガレれた箇所をまず上る。早速渋滞が発生していた。

爽やかな日差しの中、さっそくキック祭りで盛り上がっていたスタートライダー今野。セッティングが渋い様子。

山口は先頭2列目から快調にスタートしていった。彼の実力だ、これはすぐに1周して帰ってくるだろう。

エース、帰ってこない

開始から15分程度経ったぐらいから、ボチボチと1周目を終えたライダーが帰ってきた。しかし、エース山口の姿は見えない。
キャンオフには毎度ボーナスラインという難所が設けられていて、行かずにエスケープしても良いが、このボーナスラインをクリアすると周回数が加算されるよいうボーナスがある。難所というだけあって、上手い人でもエスケープするよりは時間を要する。

あぁ、さすがIB。最初っから難所にチャレンジしてるのか。

20分経過。ボーナスラインを行ったであろう実力者達が帰ってきていた。しかし、エース山口の姿は見えない。
30分経過。未だ、エース山口の姿は見えない。これは何かあったぞとパドックでソワソワしだした頃、ようやく彼が姿を見せた。元気そうだった。

あとで聞くと、ボーナスラインまではほぼトップで走行していたが、ボーナスラインのガレ上りの後に用意された助走の短いヒルクライムで、なかなかに芸術点が高い"谷側"をキめて、リカバリーに時間を持っていかれたという。ここからどうにか巻き返してほしい。

この上なく美しい"谷側キメた"の図。悲壮感ある突っ立ちも相まって芸術点が高い。10点。

ほどなくして「team 短足組合」のスタートライダーも無事に一周。元気そうに2周目に入っていった。

その時、俺は思い出した。

2年前、私がはじめてオフロードレースがこのキャンオフ信州だった。苦戦しながらも、セローでとことこ楽しく周回した。その時の記憶からすれば、とりあえすアクセルを閉じなければなんとかなる。このコースは好き・得意という感想が残っていた。


あれから2年、WEXやCGCなどのエンデューロレースに出てきたし、マシンもレーサーになった今なら、初心者が周回できるコースなら難なく周回できるだろう。確かに忙しくて、半年近いブランクがあるけど。
朝のブリーフィングでのオススメ空気圧はリア0.3kg。この日、路面コンディション自体は朝に雨が降った前回より悪くない。行ける行けるとパンクが嫌でリア0.5kgセッティングにして、意気揚々とスタートした。

疲れて遠くを見ている

ハチャメチャにイゴった。順調にいけば、10分ちょいで周回できるコースで、一周するのに4-50分を要した。辛かった。めちゃくちゃヘルプしてもらった。これでもかとあらゆるフラグを回収した。

その時、私は思い出した。 俺は!!!!! 弱いっ!!!!!ということを。

パドックに戻って交代。空気圧をできるだけ落とした。するとさっきまでの苦戦が嘘のように登る登る。コースが若干簡略化したこともあり、そこからなんとか恥ずかしくないくらいには周回できた。
あぁ、こんなこともできないのか。オフロードの基礎基本から初心に帰って鍛え直しだ!

リザルト

Team 短足組合

チームメイトが順調に周回し、最終的な全体順位は"普段よりは"良い真ん中くらいで着地した。

3人1チームで出たが、もう1人の走行写真がまったくない。その1人は、都会の喧騒に疲れる信州生まれの唐澤おじさん。

前日の温泉、故郷信州の気候、心地よい2ストの音に、完全にリラックスモードになってしまいほぼ走行しなかった。キャンオフはこういうまったり系の楽しみ方(?)もあり。

エース 山口

気になるのは本当にソロで5時間走り切ったエース山口。

その結果は…

見事、ぼっちクラス 社会人の部で優勝っ!
冒頭のロスを、持ち前の体力とスピードでもりもりと巻き返した。ボーナスラインも何度もクリアしていた。すごい!

総合1位は、この信州マウンテンパークをホームコースにしている中学生の小沢 瞬選手が圧倒的な強さで完全優勝。RM85でJNCC等の大会で現役プロライダーをパスしてるホープ。

例年来ていただいているプロライダーの齋藤祐太朗選手も一緒に走っている。こうしたハイレベルなお手本をすぐ目の前で見れるのはとても贅沢だ。

雰囲気が良いオフロードレース

キャンオフは目を三角にして走っているエントラントもおらず、運営もマーシャルもみんな優しく雰囲気がいい。

オフロードライフを頑張る学生、そして社会人に向け、様々な企業が協賛を行ってこのレース運営を支えている。ウェビックもそのうちの一社で、今回は総額10万円分のポイントを協賛させて頂いている。

次回のキャンオフもとても楽しみだ。

信州のキンキンの湧水が疲れたカラダに効いた。

主催:キャンオフ 東日本
画像提供:Off1.jp